Power BI道場 なぜ私のレポートを使ってくれないのか?

Power BI

BIレポートを提供する場合は、使う人の気持ちになって作らないと使われません。

これは簡単なようで難しいです。
どうしても自分の考えが入ってしまいます。

使われるレポートを作成するための考え方と実践方法を紹介します。

Power BIレポートの作成と配布方法

前回のストーリ
「Power BI道場 経営層がBIレポートを望む本当の理由」

椿
椿

桐生課長どんなPower BIのダッシュボードがいいですかね?

桐生課長
桐生課長

やりたいことを一緒にまとめようか。

桐生課長と椿は議論を重ねてダッシュボードの要件をねった。

  • 無駄な経費を減らす(桐生課長の要望)
    経理部から経費節減を求められているため。無駄な経費を省き利益を多くする。
  • 申請と承認を早くする(椿の要望)
    木曜日までにまとめないといけないが、経費申請しない人が多くてたいへんなため

日頃から感じている問題点だったのですんなりと決まった。
この2点ができれば会社にとってプラスになる。
営業マンが自分で見て自分で改善できるダッシュボードを目指して作り始めた。


われながらすばらしいダッシュボードができたと椿は思った。

  • 経費を他人と比べることで、使いすぎの抑止効果をねらう
  • 今週の申請金額を出すことで、未申請を気付きやすくする

このレポートを使えば経費も自然と減り、申請も早くなるはずだ。

導入するにあたって、講習会やインストールのサポートと椿はたいへんだった。

でも営業マンには好評でみんなよろこんで使ってくれた。
即座に切り替わるPower BIのグラフに驚き、感心しながらずっとさわっていた。

そんな姿を見て導入してよかったと椿は思った。

なぜ私のレポートは使われないのか?

椿が経費レポートを公開してから1ヶ月がたった。

初めの1週間は経費レポートの話でもちきりだったが、最近その話題はなくなっていた。
目的の経費申請は遅れたままだし、経費の使用額も前月と変わりがなかった。

椿
椿

菊之助さん。
私の作ったPower BIの経費レポートの使ってないでしょ?
なんで使わないの?

菊之助
菊之助

うーん・・・。
椿は”くさったしたい”だよ。

椿
椿

何、突然!??
くさったしたいって?

菊之助
菊之助

ごめん、言葉が足りなかった。
椿はアリアハン攻略をまかされた”くさったしたい”だと思って仕事した方がいいよ。

まったく補足になっていなかった。
口をはさもうとしたら、菊之助はドラクエの復活の呪文について熱く語り始めていた。椿はしかたなく延々と続く菊之助の話を聞き流していた。


椿は家でYouTube見ている最中、菊之助の言葉を思い出してムカムカしていた。

長い付き合いなので、菊之助が言いたいことはわかっていた。
「自分が何の力もないのを自覚するように。
その上で他の人を率いる方法を考えた方がいい」
ということだ。

例えるのだったら”くさったしたい”じゃなくて、かわいい”スライム”でしょ。
そのことに椿は怒っていた。

しかし、どうやって自分より強いモンスターを従わせるのか?

  • 魔王の威厳を借りる

思いついたのはこのぐらいだった。
魔王の目的は何だろうか?

モンスターが人を襲うのは魔王の目的にそっているともいえる。
だから何も言わなくてもやってくれる。
それを考えたら経費削減とかはなんかずれた目標のような気がしてきた。

その時椿はハッとひらめいた。
私のかわいいという魅力を使えないことを言いたくて、菊之助は”スライム”じゃなくて”くさったしたい”で例えたのではないだろうか?

椿は満足して、またYouTubeに集中しはじめた。

使われるダッシュボードにするには権威性が大切です。

権威性として使えるのが

  • 会社や部の方針
  • 本や世の中で使われている一般的な指標

です。

会社や課の方針
社長や部長の権威性を使って、部員が使うようにします。

本や世の中で使われている一般的な指標
社会的に信用のある権威性を使って有益な情報を思わせる方法です。

利用されるダッシュボードを作るにはこの権威性をうまく絡める必要があります。

部の目標設定を元にダッシュボードを作り直し

椿
椿

杉浦部長。
経費削減のためのBIレポートを作っています。
部の方針はありますか?

椿は杉浦部長の権威性を利用して部の経費ダッシュボードを作ろうと考えていた。

杉浦部長
杉浦部長

経費はどんどん使ってかまわないよ。
経費をいっぱい使って売上をあげてね。
あっはっは。

驚いたことに杉浦部長は経費を削ろうとは思っていなかった。
むしろ増やしてもいいと考えていた。

椿は杉浦部長から聞いた話をもとに整理した。
杉浦部長と桐生課長と椿で考えていることがぜんぜん違う。

椿は営業がレポート使ってくれない理由がわかった気がした。

椿は杉浦部長と営業マンの視点でPower BIレポートの構成を考え直した。

部の目標をダッシュボードで表示すれば、それを確認するために営業マンは利用する。
そして、部の目標を達成するために必要な情報をのせれば自分から使うようになる。

その考えを元にダッシュボードを作り直した。

椿
椿

私が作りたかった経費レポートとぜんぜん違う。
実現するのはすごく大変だし、本当にこんなのでいいのかな?

出来上がった案を見直したものの椿は自信を持てなかった。

新ダッシュボード運用2ヶ月後

桐生課長
桐生課長

Power BIはすごく良いツールだね。
今日経理部からデモしてくれって要望あったよ。

椿の作ったPower BIのレポートは営業部で日常的に使われるようになった。
今のように褒められることも多くなった。

でも椿は少し不満だった。

椿
椿

Power BIが良いか。。。

菊之助
菊之助

Power BIは勇者の剣みたいなものだからね。

椿
椿

ん?

菊之助
菊之助

強力だけど、岩から抜ける人は限られているってこと

菊之助の最近のドラクエ縛りの会話はいったい何なの?
と思ったものの菊之助が理解してくれることをうれしく思った。

椿が作り直したダッシュボードは次のようなものだった。

ダッシュボードは経費削減でなく営業成績をメインに変更した。
というのも杉浦部長も営業マンも経費削減を目的にしていなかったからだ。

椿が行った作業は次のものだった。

  1. 杉浦部長に部の行動目標を確認。
     会社の目標売上10億 → 顧客ごとの売上目標金額を設定
    を杉浦部長がしていることを確認。
  2. 桐生課長に経費節減の指標の見直しを打診
    経費削減から、規定の経費を限界まで使って売上を増やすという考えに変更。
  3. 営業マンの実行目標に経費をいれる。
    顧客ごとの目標金額を達成するために、経費を使って何の営業活動をしたかを報告にいれるようにした。
  4. 週次の営業進捗会議にダッシュボードを使う。
    営業進捗会議で受注金額と経費の実績確認のためダッシュボードを使うように杉浦部長に働きかけた。

KPIのレポートとして理想的なのは次の3つの要素が入っていることです。

これは目標設定と同じ方法で、目標が達成しているかを数字で確認できるということで有用です。

目標内容
組織目標会社の目標数字です年間10億の売上
行動目標組織目標を達成するために必要な中間目標A社に月2,000万の売上
実行目標具体的な行動に落とし込んだ目標A社の売上のために
販促費40万円を使う。
週1回訪問する。

振り返ってみるとPower BIの作業なんてほとんどしていなかった。

  • 部の目標と作業を具体的に数字に落とす
  • 営業進捗会議の運用方法を変えるように働きかける
  • Power BIでデータを取り込みやすいように、営業進捗会議用の資料フォーマットを変える

といった作業ばかりだった。

椿の経費申請が遅れる問題はどうなったか?
営業マンが営業活動をアピールするために進捗会議前に経費を申請するようになったので自然と解決した。

経費節減はどうなったか?
限界まで経費を使うということで、営業が逆に経費の上限を意識するようになった。

まとめ

BIレポートを作成するときは、自分が表示したいデータを出すのでなく、利用者が欲しいデータを表示するのが大切です。

使われるレポートにするには

  • 権威性を利用する
  • 運用ルーチンの一部に組み込む

という工夫が必要です。

おすすめのダッシュボードは次の3つです。

  • 部門目標のダッシュボード
    この記事で紹介した内容
  • 自分だけが使うダッシュボード
    椿が初めに作成したダッシュボード。
    桐生課長と椿が使う分にはいいダッシュボードです。
  • 一般指標のダッシュボード
    貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった一般的に使われる指標を出すレポート


一般指標のダッシュボードは頻繁には使われません。
ですがそのダッシュボードから新しい依頼につながるので用意しておくべきダッシュボードとなります。

第4篇 使い物にならないPower BI

椿
椿

菊之助。
これで私もアリアハン攻略ね。
いわば伝説のくさったしたいね。

菊之助
菊之助

アリアハン?何を言ってるの?

例えるなら函谷関の戦いが控えているとも知らずに、山陽の勝利で喜んでいる信だな。

椿
椿

函谷関?
今度は何?

ドラクエをクリアして今度はキングダムを読んでいる菊之助であった。

椿が主導しているPower BIプロジェクトも函谷関の戦いに匹敵する厳しい戦いが次に控えていた。

使い物にならないPower BI」へ続く。

Power BI導入ストーリー
1. Power BIでできること3選
2. 経営層がBIレポートを望む本当の理由
3. なぜ私のレポートは使われないのか?
4. 使い物にならないPower BI

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