財務諸表を読めることはビジネスマンにとって大切です。
- 財務の資料を読めても実際の業務の役にたたない。
- 財務の資料はわかりにくい言葉が多くでて読む気になれない
という方も多いと思います。私もその一人です。
財務資料を作る以外の人にとっては、細かい定義や用語を覚える必要はありません。
財務諸表から何か感覚でいいのでつかみ取れるようになることが重要です。
財務諸表を使って会社の状況を知ったり分析したい
財務諸表の話がでた時に概要だけでもついていけるようになりたい
という方向けにこの記事は書いています。
10分ぐらいで概略を理解できるように書いていますのでぜひご覧ください。
財務諸表がなぜ重要なのか?
財務諸表は企業の成績表です。
一定のルールに従って第3者がチェックをした成績表なので価値を持ちます。
例えば全国の小学生の中から優秀な人を選ぼうとあなたが考えたとします。
あなたはどうやって選ぶでしょうか?
まず成績表がいい人をリストアップすると思います。
もちろん成績表で表せない「やさしさ」などの要素はあります。
直接面接したらすばらしい実績のアピールがあるかもしれません。
ですが第3者のチェックがなく一定のルールで表せない情報は比較として使えません。
財務諸表が重要なのはルールに従って第3者がチェックした情報のため。
同じルールに基づいて作成しているので比較データとして使える。
3つの財務諸表の内容と関係性について
財務諸表として作成が義務付けられている資料は
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュフロー計算書
があります。
まず前提として企業は財務諸表を作りたくて作っているのではありません。
企業にお金を融資している人が経営状態を知るために作らせているのです。
次に3つの資料の関係性についてわかりやすく説明します。
貸借対照表 | 特定時点の資産全額を表した資料 |
損益計算書 | 企業活動によって得た利益や損失の結果を表した資料 |
キャッシュフロー計算書 | お金の流れを表した資料 |
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の関係
3つの資料の関係性を捉えるために自分の生活の例で考えてみます。

貸借対照表
貸借対照表は特定時点でのあなたのすべての財産です。
現金だけでなく車や家具や食べ物と全部対象です。
ものはお金に換算して資料に表示します。
損益計算書
損益計算書はある時点からある時点までの活動結果の報告です。
給料をいくらもらったか?
食費や娯楽費にいくら使ったか?
家賃や通信費をいくら払ったか?
*この費用例は実際には違います。自分を商品と考えて、生きていくために必要な費用をあげています。
というふうに月でいくら何に使い、給料をいくらもらったかの記録です。
注意点はマイホームを買った場合、その費用は損益計算書に入りません。
これは家計簿と同じ感覚です。
生活費を考える時にマイホームのような一時費用は除いていると思います。
マイホームでしたら購入時の3,600万の費用をいれるのでなく、35年とかの長期で考えて月々の10万円と計算するイメージです。
長期に効果がでる買い物は、長期に分配して費用計算します。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書はお金に特化して、
- 取引の記録
- 残高
を記録した資料です。
マイホームの購入料金や銀行から借りたお金のやり取りも記載します。
貸借対照表:「お金+もの」の残高
損益計算書:「お金+もの」の活動記録
キャッシュフロー計算書:「お金」の残高と活動記録
上の表を見て
「キャッシュフロー計算書は重複していらないのでは?」
と思った方もいると思います。
貸借対照表と損益計算書はごまかしやすいという欠点があります。
「もの」をお金に変換して計算しているためです。
よくあるのは売れ残りの商品です。
売れないので価値はないはずでが、貸借対照表上は価値あるお金として表示できます。
キャッシュフロー計算書はごまかしの効きにくいお金に注目した資料です。
資料上の関係性
財務三表を見た時に関係性が深い科目について説明します。
概要をつかむために80%ぐらいあてはまるぐらいの感覚の話です。
分析するには、このぐらいの感覚で全体像と数字をつかむのがおすすめです。

貸借対照表と損益計算書の関係
- 貸借対照表の資産(流動資産と固定資産)を元にビジネス活動をします。
ビジネス活動の結果は損益計算書に記載されます。 - ビジネス活動で得た利益の「当期純利益」が貸借対照表の「繰越利益剰余金」に反映されます。
別の言い方ですと、貸借対照表の「繰越利益剰余金」がビジネス活動の結果です。
その詳細を表したのが損益計算書です。
貸借対照表とキャッシュフロー計算書の関係
貸借対照表のお金の流れが、キャッシュフロー計算書の主にどこに記録されるかの対比表です。
# | 貸借対照表 | キャッシュフロー計算書 |
---|---|---|
a | 流動資産と流動負債 | 営業活動のCF |
b | 固定資産 | 投資活動のCF |
c | 固定負債 | 財務活動のCF |
d. キャッシュフロー計算書の期末残高は貸借対照表の流動資産に近い値になります。
損益計算書とキャッシュフロー計算書の関係
損益計算書のお金の流れはキャッシュフロー計算書の主に営業活動のCFに記録されます。
まとめ
財務三表が扱っている内容は次のようになります。
- 貸借対照表:「お金+もの」の残高
- 損益計算書:「お金+もの」の活動記録
- キャッシュフロー計算書:「お金」の残高と活動記録
貸借対照表で資産状況の資料で、損益計算書は特定期間内の活動内容の結果を書いた資料です。キャッシュフロー計算書はお金に特化した資料です。
別の視点から考えると、貸借対照表に表示される利益の詳細が損益計算書です。
分析する時はいろいろな数値を見て全体の傾向をつかむと理解しやすくなります。
今回紹介した内容は全体の概要をつかむのに役に立ちますので、分析する時にご利用ください。
今回でた3つの資料について分析者向けに特化して書いた記事があります。
分析する人に役に立つ見方を紹介していますので興味のある方はごらんください。
分析者向けの全体記事
▶貸借対照表
▶損益計算書
▶キャッシュフロー計算書