KPI道場 固定比率と固定長期適合率を分析者の視点でみる方法

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固定比率と固定長期適合率は長期の会社の安全性を見る指標です。

この指標は高いほうがいいのか、それとも低いほうがいいのか?
どのぐらいが適切か?

といった疑問を持つと思います。
この判断に役立つ考え方を紹介します。

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・会社分析するために固定比率と固定長期適合率を知りたい方

概要を簡単に知りたい方は
KPI道場 貸借対照表からだせる指標6つ。わかりやすい例で紹介
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固定比率と固定長期適合率を含めた6つの指標を身近な例で説明しています。

この記事では適正値を分析する時にもう一歩深く考える時について解説しています。

その理由は指標が高いか低いかは業界やビジネスモデルによるものが大きいからです。
高い値が経営上の問題から発生しているのか?それとも経営戦略からきているのか?
これは判断する人によってまちまちです。

単純に数字を見ただけでは決められないため、判断に役立つための背景について解説していますので、ぜひお読みください。

固定費率と固定長期適合率の概要

長期の安全性を知るために使う指標です

指標内容計算式
固定比率固定資産が自己資本に占める割合です。

100%以下は長期運用に必要な設備は、
自分のお金で運用していることを意味します。

低いほうが安全。
100%以下はすごく安全。
固定資産/自己資本 × 100
固定長期適合率自己資本に固定負債を加えたものです。

100%以下は適切なリスクで経営できていると考えられます。

低いほうが安全。100%以上は危険
固定資産 / (固定負債 + 自己資本) x 100

値の目安や業界やビジネスモデルによって異なってきます。
同じ業界で比較しないと適正値の判断は難しいです。

固定比率は高いほうがいいか?低い方がいいか?

安全面だけを見れば100%以下で低ければ低いほどいいです。
ですが収益性の面から見ると違います。

安全性が高い = 収益性が低い
安全性が低い = 収益性が高い


という図式がなりたちます。
ですので安全性と収益性のバランスをとるのがいいといえます。

不動産を買った時の例

不動産を買った時の例で固定比率を考えてみます。

【前提条件】

自己資金1,000万円
ローンの利率5%

自己資金の1,000万円の不動産を買った時と2,000万円のローンを組んで3,000万円の不動産を買った時の表です。

固定比率は100%と300%で大きく違います

1,000万円の物件の場合3,000万円の物件の場合
固定比率100%300%

この時の利益です。
借入金利が利益より低ければ利益が大きいですが、
逆に利益率が借入金利を下回ると損失が出てしまいます。

1,000万円の物件の場合3,000万円の物件の場合
良い場合:不動産の利益率10%10%
良い場合:利益100万円200万円
(利益 – ローン)
悪い場合:不動産の利益率2%2%
悪い場合:利益20万円-60万円
(利益 – ローン)

この例でわかるように、固定比率が高いともうけた時は利益が大きいです。
ですが不況の時は損失がでてしまう危険性があります。

固定比率は低いと安全性は高いのはこれが理由です。

もしあなたが必ずもうかる不動産を買える場合はどうしますでしょうか?
多額の借金をしてでも不動産を購入するはずです。

有望な投資先がある場合は固定比率は高くなります。
そのため必ずしも固定比率が高いと悪いわけではありません。

固定長期適合率

固定長期適合率は固定比率の計算に似ています。
自己資本に固定負債を追加したものです。

固定長期適合率は流動比率の逆の指標です。
 流動比率 = 流動資産 / 流動負債
ですので、図をみるとわかりやすいと思います。

固定長期適合率の高さの上限

固定長期適合率が100%以上は、流動負債を固定資産で払わないといけないことを意味します。

食事をした時に手持ちの現金がなかった時のことを考えてください。
車や不動産を売らないとお金が払えないという状況は異常かと思います。
その感覚が固定長期適合率が100%以上の状態です。

そのため100%を超えると危険性が高くなります。
固定比率と違い、100%を超えた高さは危険です。

長期視点の固定資産は銀行からの借入などで対応するのが通常の考えです。
100%以上の場合、その借入ができていないということを暗に意味します。
その点においても危険だといえます。

固定長期適合率は低いほうがいいか?

固定長期適合率は流動比率の逆なので流動比率の逆のことが言えます。

100%は超えてはいけないが、低すぎるのは利益につながるリスクをとっていないともいえます。

流動比率について知りたい方はこちらの記事を御覧ください

値の目安は業界に関わってきます。
その理由は在庫です。

在庫は固定資産ではありませんが長期借入の固定負債でまかなうことが多いので、在庫が多い業界ほど固定費率は低くなります。

情報やサービス系の業界の固定長期適合率は高く、製造業といった在庫が必要とする業界は低い傾向があります。

まとめ

固定比率と固定長期適合率は長期の経営の安全性をみる指標です。

両方とも低いほど安全性が高く高いとリスクや危険性が高くなります。

固定比率は100%以下は自己資本で固定資産をまかなっていることを意味するのでかなり安全です。

100%以上だからといって危険とは限りません。
銀行などから借入れて適正なリスクをとって収益の増大をはかっているともいえます。
その場合は、長期の安全性を見るには固定長期適合率をみるのがいいです。

固定長期適合率は自己資産に固定負債を追加した指標です。
上記の銀行からの借入れを考慮した指標です。

固定比率が高くても固定長期適合率が100%以下で低ければ大丈夫といわれています。

固定比率と固定長期適合率は長期の安全性だけを考えれば低い値ほどいいです。
ですが、利益とリスクを考えた時に安全性が高いのがいい会社とはいえません。

この良い会社か悪い会社かを判断できるのはあなただけです。
この記事がその判断にお役に立てば幸いです。

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