KPI道場 流動比率と当座比率の違いについて

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流動比率と当座比率は会社の短期安全性をみる値として使われています。
この2つは貸借対照表から計算できます。

数字を見る時に高ければ高いほどいいのか?
どのぐらいが適正値か?

といった疑問を持つと思います。
この判断に役立つ考え方を紹介します。

おすすめの読者

・会社分析するために流動比率と当座比率を知りたい方

概要を簡単に知りたい方は
KPI道場 貸借対照表からだせる指標6つ。わかりやすい例で紹介
の記事をおすすめします。

この記事はもう1歩深く流動比率と当座比率について考察した内容を書いてあります。
分析する時に参考にしてください。

流動比率と当座比率の概要

2,3年といった短期の安全性を知るために使う指標です

指標内容計算式
流動比率1年以内に現金化可能な資産と
1年以内に支払期限がくる負債の比率

高:安全性が高い。120%以上が適正
低:安全性が低い。100%を下回ると要注意
流動資産/流動負債 × 100
当座比率流動資産でなく当座資産を使った計算です。
当座資産はより現金化しやすい資産です。

高:安全性が高い。90%以上だと安全
低:安全性が低い。70%を下回ると要注意。
当座資産/流動負債 × 100

値の目安や業界やビジネスモデルによって異なってきます。
同じ業界で比較しないと適正値の判断は難しいです。

流動比率は高いほうがいいか、低いほうがいいか?

流動比率は値によって2つの見方があります。

  • 120%以下
    短期の安全性に注意が必要な場合に確認する
  • 120%以上
    業界の構造や会社の戦略を分析するために使う

流動比率は高ければいいというのもでありません。
一定の水準を満たせば、次は会社の戦略で適正水準を維持することになります。

これについて詳細を解説していきます。

流動比率は100%になるのが土台

下の図は活動すると流動資産と流動負債がどのように変化するかを表しています。
*このフロー図の内容を理解する必要はないです。

ここで重要なのは、活動がどの状態であっても
 流動資産 = 流動負債
となるということです。

初めの借金は棚卸資産→売掛金と形を変えますが、大元の価値は同じです。
どの状態でも「流動負債=流動資産」というのが流動比率を見る時の土台となります。

材料を買うと流動比率が下がる気がします。
商品が売れると流動比率が上がる気がします。

ですが商品が売れても売れなくても流動比率には影響しないというのが本質です。

流動比率を変える方法

流動比率を変える方法を3つ紹介します。
意図的に変える方法を知ることで、自然と流動比率の意味がわかるようになります。

  1. 活動上の増減
  2. 流動資産から固定/繰越資産への切替
  3. 流動負債から固定負債への切り替え
活動上での増減

活動することで元の資産が増えたり負債が増えたりします。

借金手数料や利子を払わないといけない
棚卸在庫買いすぎて余ったら捨てないといけない
売上生産活動によって利益がでる
生産と営業のために賃金を払わないといけない
売掛お客がお金を払えなかった場合損をする

この活動上の増減がマイナスになると流動比率が下がります。
会社はこの活動による流動比率の増減を意図的にコントロールできません。

そのため日々の活動で利益がでないと流動比率が悪くなるという形で表れてきます。

流動資産から固定資産への切替

活動で余剰金がたまると、流動比率はあがります。

そのため
「流動比率が高ければ高いほどいいのでは?」
と思うかもしれませんが、利益の面から見ると違います。
流動比率が高いということは働いていないお金があることを意味するからです。

理由は「流動負債=流動資産」が土台だからです。
100%を超えた分が安全性であり、また非効率な部分となります。


100%でなく120%以上がいいとされているのは、活動による支出は負債が先にくるためです。そのため実態としては100%以上が必要となります。

利益を生むものは何かとなると機械であったり開発です。
そこで流動資産から固定資産や繰延資産への切替えがおきます。

より高い利益を生むために投資をするので、流動比率は下がります。
高すぎる流動比率は利益がでる商売に投資できていないことを意味しています。

流動負債から固定負債への切り替え

次の表は業種別の平均流動比率です。
この一覧をみて何か気がつくことはありますでしょうか?

EDIUNET 業種平均ランキング(https://industry.ediunet.jp/choice/505)より引用

業界別の平均を見ると在庫が関係しているのがわかると思います。

流動比率が低い業界は鉄道、保険、電気など在庫を必要としない商売です。
反対に流動比率が高い業界は製造業系で在庫を必要とするのがわかります。

在庫の棚卸資産は年間を通した水準を予測できます。
そのため借入れを短期から長期にして経営の安定をはかることができます。

この動きの結果在庫が多い業界の流動比率が高くなります。

棚卸資産の一定割合を固定負債で調達。もしくは資本調達する。
→ 流動負債の割合が下がる
→ 流動比率が高くなる

流動比率のまとめ

得た利益を投資することによって流動比率の下がります。
棚卸資産を固定負債や純資産でまかなうことで流動比率は上がります。

うまくいっている会社は流動資産と流動負債をコントロールしているので、戦略的に狙った水準に落ち着きます。

利益がでずにコントロールができなくなった時、流動比率が低下して問題が表面化します。

当座比率について

流動比率は棚卸資産に影響することがわかりました。
純粋に短期の安全性を見る時、棚卸資産が含まれるとわかりにくくなります。

  • 業界やビジネスモデルで流動比率が大きく異なり判断しにくい
  • 現実的に棚卸資産は短期で資金に変換しにくい

棚卸資産を除いた分析が当座比率となります。
当座比率はより短期の安全性を見るのに特化した指標といえるでしょう。

下記は良品計画のサンプルです。
売上と利益は増ていますが、在庫が増えているというニュースを元に取り上げました。

流動比率と当座比率からわかること

  • 短期借入金や長期借入金を差し引いて計算すると流動率は一定なのに対して当座比率は徐々に下がっている。
    予測に対して売れていないのでは?ということが想定される。
  • 5月に長期借入金で突然改善している
    「流動負債から固定負債への切り替え」による効果
  • 流動率は200%を超えているので、これだけで短期の安全性の判断は難しい。
    当座比率が80%ぐらいで財務面の見直しがされているので、当座比率のほうが短期安全性の判断をしやすいことがわかる

まとめ

流動比率と当座比率は2,3年の短期の安全性を見るための指標です。

流動比率は業界によって大きく異なるので、他の会社と比較して確認が望ましいです。
流動比率は安全性以外の内容も業界内の会社と比較することで推察できます。

当座比率はより現金化しやすい資産に特化したもので、内容も安全性の確認により特化しています。

良品計画のように財務戦略の結果が流動率や当座比率の指標に反映します。

  • 当座比率が突然改善した理由は?
    →借入で財務面の対策がされた
  • 財務面の対策をした理由は?
    →当座比率が徐々に悪化していたので短期の資金繰りが原因か?
  • 当座比率の悪化の原因は?
    →在庫が増えている?

というふうに各指標の意味を知ることで物事を1歩深く考えられるようになります。
貸借対照表の分析にこの記事が参考になれば幸いです。

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貸借対照表から出せる指標6つをわかりやすい例で紹介

もう一歩分析のために深く知りたい方へ
▶ 短期安全性:流動比率と当座比率
▶ 長期安全性:固定比率と固定長期適合率
▶ 財務安定性:自己資本比率と負債比率

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